永遠とは何だろう
永久に続く確かなものなどありはしないと解っている
ずっと共に在りたいと願うことは、きっと雲を掴むような話で
あなたがいつまでもここにいてくれると、安心してしまうのが怖いのです
明るい太陽に照らされて、青年達は村の復興に力を注いでいた。
日に日に、少しづつではあるが、瓦礫が片付けられ、新しい建物の土台が形成されて
いく。
それでも、まだ過去の跡は消えてはいない。あちこちに残った焼け焦げた跡。大地に
も、過去の惨劇の跡が生々しく残っている。
そんなものを見ていると、そんなものがある訳ないのに、まだ血の跡すら消えてないような気がし
てくる。
トーティスが滅びたのはもうずいぶん前のことなのに、今でも鮮明に覚えている。
響く警鐘。あがる悲鳴と怒号。手遅れになった非力な自分。
そんなものを振り切るかのように、クレスは探していた背中に声をかけた。
「ミント」
聞きなれた声が鼓膜をくすぐる。
耳に心地よい高さの声。
「クレスさん」
それまでしていた仕事の手を休めてミントは振り返った。陽の光を反射して輝く金糸
の髪にクレスは目を細める。
「こんなところにいたんだ。あれ…それは…」
ミントの手元に視線を落とす。そこには小さな新緑。
「はい。前に…植えた種が芽を出したんです」
生まれ出たばかりの小さな命を慈しむように微笑むミント。
茶色の土に、新しい緑が映える。
失われた村も、こういうところから生まれ変わっていけるのだろう。
「ミン…」
「クレスさ…」
互いに名を呼び、ふと動きを止める。
同時に声をかけたことが何やら気恥ずかしくて、どちらも続きをつなげずにいた。
「あの…ミントが先に…」
「いえ、クレスさんこそ…」
特に大きな意味などないのにお互い譲り合って、沈黙してしまう。うっすらとミント
の頬が紅く染まっているのも、きっと気のせいではないだろう。
「あ、あのさ…」
「…はい?」
ようやくクレスが重い口を開いた。淡い栗色の髪を軽く掻いて、何やらとても言い難
そうに。
「ミントは…これからどうするの?」
「え?」
「今はこの村の復興を手伝ってくれているけど…その…いつかはそれも終わるだろう
し…いや、終わらなきゃ困るんだけど…そうじゃなくて…」
いまいち意味をなさないクレスの言葉に、ミントは眉根を寄せて首をかしげる。
「…どういう…意味ですか?」
「ミントは…他にやりたいこととか、行きたいとことか…あるんじゃないかなって
…」
「…っ…それ…って…」
金槌で頭を殴られたような気がした。
クレスは、自分が要らないと、他の場所へ行ってもいいと言っている。そう思うと、
足元がふらついた。地面が急に消えてしまったかのような感覚さえ覚える。
「それは…私に出て行け…ってこと…ですよね?」
「ミント?!違っ…そうじゃなくて…」
「いいんです、はっきり言って下さい。私はチェスターさんと違って元々トーティス
の村の人間ではありませんから…クレスさんがそうおっしゃるのも…当然です」
気を抜けば溢れそうになる涙を必死に堪えて、ミントは言った。震える手足を抑える
ことに必死で、クレスの顔を見ることも出来ない。
「違うんだ、ミント!!」
不意に、体が大きく、温かいものに包まれた。
それがクレスの身体だと気付くのにミ
ントは少しの時間を要した。そして、気付いた瞬間、顔に火がついたような感覚を味
わうことになる。
「ク…クレスさん?!」
「違うんだ、ミント。そうじゃないんだ…出て行けなんて思ってない。そうじゃなく
て…逆なんだ」
上手く繋がらない言葉を必死で繋ぐクレス。ミントからは見えないが、クレスもきっ
と顔に血が上っているのだろう。
「逆…?」
クレスの言う意味がわからないのか、呟くように聞き返す。
「…〜〜〜っだから…っその…ずっと一緒に居て欲しいんだ。
ここに、この村に!!…僕と一緒に」
「!!」
苦虫を噛み潰したような顔で照れながら発したセリフと共に、ミントを抱きしめる腕
に力がこもる。
きっとクレスは真っ赤な顔をしているのだろう。心なしか、彼の手のひらが汗ばんで
いるのをミントは感じていた。
「クレスさん…」
「ミント…ダメかい?」
おそるおそる訊ねるクレスに、ミントは思い切りかぶりを振った。
「いいえ」
「ミント…」
「私も…クレスさんと一緒に…ここに、居たいです…!!」
きゅ、と彼の背に腕を回す。温かい鼓動が聞こえた。
永遠なんて、そんなもの無いと解っている
けれど、今、この一瞬は永遠だと思いたい そう願う
今二人が共に在るこの一瞬が
いつの日か永遠になるように、願わずにはいられない
…
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テケトウにタイトルつけてみたよ〜。
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執筆してくれた沢本れんさんのHPはこちら
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