お前が感謝を表すのはいつも唐突だ。 驚く私はまた振り回される。 それがまた、実に愛おしくもあるのだが。 〜親愛なる父へ〜 「あの、さ…クラトス…」 少し癖のある髪と、呼ばれた男によく似た瞳の色を持つその少年は、 珍しくうつむき加減で話しかけてきた。 「どうした、ロイド」 ミトスとの戦いも終わり、あとは役目を果たすため 旅立つ支度をしていた彼は、ゆっくりと振り返った。 すると少年が手を差し出す。 「これ……」 それ以上言葉が紡がれなかったが、 少年が精一杯伝えようとしているのが見て取れる。 どうやら何か持っているようだ。 大事そうに両手で差し出されたそれは、 小さな木製の小箱であった。 宝箱状に開くよう、蓋が付いており、蓋には羽の様な細工が施してある。 「私にか…?」 エクスフィアの光る左手で、そっと受け取る。 木製品の感触が手に心地いい。 丁寧にヤスリで角を整えてあるようだ。 「開けてみてくれよ!」 先程とは違う、明るい表情で少年が笑った。 木箱を受け取った彼は、ほんの一瞬だけつられて柔らかい表情になったが、 少年には悟られなかった。 彼は言われるがまま、木箱を開けてみた。 開けて直ぐ、小さくはあるが可愛らしい音が聞こえてきた。 「…オルゴールか…」 またあの柔らかい表情になる。今度は隠し通せない。 「…これを、私に?」 「あぁ、その…何だ、父の日!」 少年はたどたどしく答えた。 「そうか…では受け取らんわけにはいかんな…」 小さく微笑んだ彼が言う。 「あー…」 一転、少年の笑みが苦笑に変わったのが分かった。 「どうした?」 「でもそれ、一節だけ音ハズれてんだよな…」 そう言って笑いながら、ポリポリと頭の後ろを掻いている姿は子供そのものだ。 その姿がたまらなく愛おしく感じ、 自然と我が子の癖のある髪にそっと手を触れる。 「構わん。お前が賢明に作った事に価値があるのではないか?…それに…」 「それに?」 突然の彼の行動に困惑しながら、オウム返しのように聞き返す。 「また、調整すれば良い」 「えっ…でも…」 その後に続く言葉は…言えなかった。 沈黙を破ったのはクラトスだ。 「私達には使命がある。それを終え、再び会えたとき、直せば良かろう」 「…!それって…」 驚かせるつもりが、逆に驚いてしまった。 あまりにびっくりしたのか、少年は目頭を熱くした。 「…俺、父さんが行っちゃうって思った時、何か残せないかなって、思って…!」 視線を逸らしたが、しかし真剣な表情で聞き入る。 「…やはり気づいていたか」 「でも、認めるの怖かったんだ。もう会えないかもって思うとすげぇ怖かった」 「そうか…」 その腕でしっかり我が子を抱き止める。 しっかりと感じる温もりが決心を鈍らせる。 このまま離したくない。 燕尾のマントを握り返したその手にはエクスフィアが輝く。 愛した妻がこの中に。愛しい息子がこんなに傍に。 未来永劫得ることも無いと思っていた幸せがそこに確かにあった。 「さぁ、もう行くぞ…」 名残惜しくないと言えば嘘になる。 「…俺、さよならは言わないよ!」 「あぁ…」 「待ってるから…!それ、大切にしてくれよな!絶対直すんだからなっ」 「…ああ!」 家族の大切な絆が施された小箱を握りしめて、彼は旅立った。 小さな音を奏でるそれの底には、 隠すように、こう掘られていた。 Dear.father 〜親愛なる父へ〜 ―fin― |
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通勤時間にせっせと携帯で書き貯めてました。 字書きの方は時間さえ空けばこういうやり方もできて 少し有利だなと思った瞬間。 私は絵でも字でも、どれもパンパなのでどうにもなりません; どっちか片方極めるくらいの情熱が欲しいです。 うーんとりあえず表現力をマジにどうにかしたいんですが。 いつも書いても直球に未熟すぎて恥ずかしくてアプ出来ません。 ごめんなさいごめんなさい。 05.06.19 山本 のりまき |