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※ ナツココ注意報!(夏視点)
正直ほもだよ! それでもOK? よろしい。ならばナツココだ。(←?) ■ きみと苺とチョコレート ■ 「ただいまー!」 あきらかにこれはチョコです、という具合の箱。 今日の日に合わせて綺麗に包装され、リボンにくるまれた箱たちを、 それこそ、”めいっぱい”抱えて、抱えきれない紙袋の取っ手を腕に通して、 あいつが帰ってきた。今何時だと思っているのだろう。 俺は店に居るだけで人の混雑に気圧されて頑張っていたというのに。 こいつは本当にのん気というか、何と言うか…。 「そんなに貰ってきたのか、お前は。少しは断るとかしろ。」 「ええ;でも悪いじゃないか、心をこめて作ってくれたものなんだし。」 お人よしなヤツだ。 「お前は、それだけの量を賞味期限内に全て食べきれる自信があるのか?」 「…;それは…」 後先考えてない。 「それに。」 「それに?」 「…なんでもない。」 イラつく理由は分かってるのに、言い出せない。 言ったらこいつは傷つくだろう。 「なんだよ、ナッツだってたくさん貰ったんだろ?」 …言い訳だろうか。ついため息が出る。 帰ってきたと思ったら、すぐに教師連中の飲み会へ 出かけていったヤツに言われたくない。 こっちは働いていたのだ。 「知っての通りだ。ナッツハウスに客が溢れかえったな。」 「行列まで出来ちゃって!大変だったね。お疲れ様。」 「外に行列を作ったら近所に迷惑だ。それに俺は出来る限り断った。」 「またまたー。嬉しいくせにー。」 お得意のこの返し。 「…まぁ悪い気分ではない、が…」 「が?…何か都合が悪いの?」 「…いや。一番貰いたい相手に貰っていないんだがと思ってな。」 「!」 さすがにこれは効いたか? 「何だ…本当のことを言ったまでだろう。ニヤニヤするな。」 「えへへ…ナッツも素直になったなぁと思ってね。 じゃあとっておきを出しますか!よいしょ、僕からはね、これ。」 満面の笑みで和風の紙袋を出してきた。豆大福だろうか。 「…よいしょとか言うな、おじさんくさい。」 「もう!細かいこと言ってると、あげないよ?」 早速むくれた。本当にこいつは大人なのかと疑いたくなる。 「ああ、すまん。悪かった…。せっかくの日だ。お前の好きにするといい。」 「むう…まぁいいや。はいっ、僕からはこれ、『いちご大福』。」 「チョコじゃないのか」 バレンタインというのは、本来は女性が男性にチョコレートを贈るものらしい。 周りに「友チョコ」を配るやつが多かったから、 俺達は男女のイベントという気がしないが。 「チョコも入ってるよ。去年はチョコだけだったから、 今年は、もうちょっと可愛くてナッツも好きなものがいいかなって。サービスです。」 大福は好きだが、チョコレートと合うかは分かりかねる。 「そうか。」 「ねえ、ナッツからは無いの〜?」 いきなり後ろから抱き着いてきた。 かすかにアルコールの匂いがする。性懲りも無くまた呑んだのか。 あれだけ注意したのに、こいつは反省の色も無い。また思わずため息が出た。 「俺か、俺はこれだ。去年と代わり映えなくて悪いんだが… 一応この日の為に手作りだ。 材料は去年よりグレードアップしてるぞ。」 ココの大好きなシュークリームにチョコレートクリームを入れてみた。 去年より約1.5倍の大きさ。特別なのは見た目で分かるだろうか。 これは、実はチョコレートクリームの甘さの調節が難しい。 甘すぎてもしつこい、それだけの大きさなのだ、これは。 加えてパリパリの生地も厚みを調節するのに苦労した。 「うわぁおいしそう!!食べていい!?食べていい!?」 目を輝かせて顔を近づけてきた。 やめてくれ、そのご褒美を貰った犬のような眼で俺を見るのは。 「ああ、今皿に取り分けよう。」 「そのまま!そのまま食べたい!!」 言うと思った。 「せっかちだな、手が汚れるぞ。少し待っていろ」 「んーーー待ってらんないよ〜!食べます!!!」 「…まったく…皿も使わない王子がどこにいるんだ…」 「いいじゃない、ここはお城じゃないんだし! ほら、美味しいよ!ナッツも食べなよ!」 品位が足りないが、これは嬉しい反応。思いがけず顔が緩んでしまった。 「…威勢のいいことだ。……いただきます。」 「ひーははいはー、ほいひへれわー」 何言ってるか、大体は分かるが。 「飲み込んでから言え、行儀悪い」 それより、あいつの口の周りに付いたチョコレートクリームをどうにかしたい。 拭くとか何かせんのか、こいつは。 「…んっく。いいじゃないか、美味しければー。それよりどう、お味は?」 そうきたか。 「うん…甘さも控えめで丁度いいな。」 「でしょ!?学校の生徒達が噂してたんだ、ここのが美味しいってね!」 教師らしい情報源。そしておよそ教師らしくない、この食べっぷり。 「そうか。ありがとう…」 「へへ…あ、イチゴ食べないの?僕が食べちゃうよ!?」 「あっおいっ、これは!最後に食べようと…」 「取った〜〜、いただきまーーー……」 「…」 この酔っ払い。 「…なんてね、冗談だよ。ナッツの為に買ってきたんだからね。 ほら、あーーーん… ナッツ口あけてー」 にこにこしながら、こっちに苺を近づけてくる。 「……よくそういうことを恥ずかしげもなくやるな…」 「…食べちゃうよ?…」 …こいつは…そういう台詞を言うか今。 「わかったわかった。好きにしろと言ったのは俺だからな。」 とりあえずその通りにしてあげないと機嫌が悪くなりそうだ。 「あーーーん」 「… …。」 気が変わった。俺にもサービスが無いと不公平だ。 「…あーん…」 (ぱくっ) 「んっ…ナッツ、食べるはいちご!僕の指まで食べるなよー」 まずは、親指。 「いいから…黙っていろ」 紙を触る仕事をする手のくせに、意外と生傷ひとつ無い。 本当にこいつは教師か? 「ちょっ、と…ナッ…ツ、…!」 もう片方の手は俺の手で封じておく。 こんな事をしたら、嫌われるだろうか。 「チョコが付いてる」 次は、人差し指。 「だから、って…」 中指。 「お前が行儀が悪いのがいけない。」 そう、お前が、いけない。 「ナッツ…くすぐったい。」 指の間。次は口の周りにべっとりと付いたチョコレートを処理しなければ。 「ここも」 頬から唇へ。 「んー…」 やはりというか、何と言うか。 「……甘い。」 名残惜しげに、ゆっくりと離してやる、が 「ここにも」 耳の裏。 「…もー、ナッツ!」 「何だ」 「そんなとこには付いてないだろ!?」 嫌では、ないのだろうか。 「…いいのか」 つい意地悪な質問をしてしまった。 「え?」 きょとんとした表情。少し頬が赤らんでいる。 「このままやめても?」 「え…ぁ…それは、うぅ…;」 俯いてしまった。 「どうしてほしい?」 俯いたココを下からの目線で覗いてみた。 「ず、ずるいよ…」 涙目。 「俺にどうしてほしい?」 どんどん欲しくなる。 「…つ、…」 「ん?」 さすがに嫌だろうか。もうやめておこう。 「…続けて…」 予想外。…反則だ。これは。 「わかった。」 「も…からかうな、よ…」 「お前が先にからかってきたんだろう?」 耳元で囁いてやった。 「…う… ご、ごめんってば…」 真っ赤になってる。 「足りない」 「…え」 「お前が足りない」 「ナ…、ツ?」 「……;」「……。」 沈黙が重苦しい。 「俺は、」 「…ね、ナッツ?」 「…」 「たまには僕からしようか」 何を言っているのか、一瞬混乱した。 「…!ば、バカなこと言うな」 「だって。…ナッツが寂しそうなのはいやだ。」 こいつは本当に優しい。 「ち、違うんだ。」 「違うの?」 「…」 「大丈夫だよ。僕はここにいるよ。ずっとナッツの傍に居るよ。」 優しすぎて、嫌になる。これは全部嘘。俺への気遣い。 「嘘つくな…」 「え…」 「お前は俺に合わせてくれてるだけだ、優しいから… だからこうやって…!本当は自由になりたいに決まってる!」 束縛しちゃいけないって分かってた。 「…ナッツ…」 そんな泣きそうな顔するな。 「ココ…俺はお前が足りなくて仕方がなくなってる… 最初は一緒に居るだけでよかったのに。 お前がたくさんの生徒から思われてるって知っただけで、 すごくもやもやしたんだ… そんな自分に腹が立った。」 「…僕も、同じだよ?」 それも嘘、なんだろう? 「… …。」 「だから僕は一旦『世界を見て回る旅』だなんて言ってナッツの元を離れた。 ナッツは、王国に必要とされていたし、僕とは違う。」 どこが。俺は知識ばかりでお前のことを、何も助けてやれない。 「僕は傍に居なくても大丈夫、傍に居た方がナッツを傷つける、そう思ったんだ。」 「何故だ」 「僕が生徒達の思いを、断れないでいるから。 ふがいない僕に、ナッツはイライラしてたでしょ?」 俺は、自分に腹が立っていたんだ。お前にじゃない。 「でも嬉しかったよ、それだけ僕の事大切にしてくれてるって思った。 …けど、違ってた。離れた結果、ナッツに寂しい思いをさせたのは僕だ。 だから、これからはナッツと一緒に居ようって思った。駄目かな…」 そうか、知ってたんだな。俺の気持ち。 「…。そうだな、ココ…すまない。」 「違うよ、こういう時は、『ありがとう』って言うんだ。」 そう言って、笑うこいつに、俺もつられて笑ってしまう。 こいつの引力はすごい。…完敗だな、本当に。 「そうか、そうだな…俺は馬鹿だ。」 決めた。 「何言ってるの、ナッツは成績一番だったじゃな…、」 俺は、こいつを 「…覚悟をしろよ?」 離さないことにした。 「ナ…!…っいたっ!」 ゴツン!という音と共に床に後頭部をぶつけたココが ぶつけた箇所をさすっている。 構うものか。 少しゆるく締めてあるワイシャツのボタンを外す。 ……下にTシャツとは猪口才な。 「俺は頭が固いからな。一度決めたら考えを変えないぞ」 ズボンにきっちりINしているTシャツから剥がしていく。 と言ってもさっきのYシャツも着たままなので 完全には脱がせられないが。 「冷た!!ナッツ冷え性!?」 悪かったな。 「もうちょっと雰囲気のある台詞は言えんのかお前は」 「そんなこ、と…言われたって、 ナッツ、ちょ、と!あ…自分で脱ぐってば」 その時間が勿体無い。 「…いい…このまま俺が」 「せっかちだなぁ!」 「どっちが」 言い訳するから、隙をみてキスしてやる。 俺に合わせて、ぎゅっと服を掴んでくる。 「…お互い、様って、こ、と…?」 呼吸の合間に、懸命に言葉を紡ごうとしている。 「そ、だな…。」 深く舌を絡ませて。 いちいち反応してくるこいつが可愛い。 「いいのか」 「うん…。」 俺からは珍しいと思われそうだが、思いっきり、抱きしめてやった。 「わっ」 俺が普段やらないもんだから、少し驚いたようだ。 「わかった。さっき言ったこと、忘れるなよ。」 体温だけじゃない。こいつは眼差しもあったかい。 「ん。一緒に居るよ、ナッツ。」 声が響いてくる。こいつの声だけが。 「ありがとう、ココ。」 精一杯の、愛しさを込めて。 『ありがとう。』 ----------------------------- 色々とみなさんのご想像にお任せっつー言い訳を…;; つくづく文才が無いなと思うんですけど…;;すんません。 普通はVD(バレンタインデー)といえば男女で書くと思うんですけどね。 すいません、頭が沸いてます。救いようが無い。 何でこうなったかは腐った方の脳が活性化したせいかと。 あとココが可愛いから仕方が無い。うん、仕方ないよ。 これ設定的にはのぞみちゃんの世界に戻ってきたココの話なんですけど、 生徒やのぞみちゃんが心配になって帰ってきちゃったという。 結局ナッツもココ心配で帰ってきちゃってる感じで。 王国はパパイヤさんに任せておきなよ。 大丈夫だよあの国の民なら王様居なくても。 あ、言っておきますけどココのぞも好きですよ。 こっちとは別次元な感じですけど。 ちなみに冷え性でうっかり紙でよく指を切るのは私です。 2009.2.14 山本のりまき |